労働分配率を考える

労働分配率を考える

 

企業は事業活動により生み出した「付加価値」を基に、人件費などの諸費用を賄い、利益を得ているが、「労働分配率」とは、企業が生み出した付加価値額のうち、どれだけが労働者に分配されているかを表す指標である。大企業に比べて、中規模企業及び小規模企業では、労働分配率が長年にわたって高止まりしていることが分かる。

労働分配率が高い中規模企業及び小規模企業では、生み出した付加価値額のうち、営業純益として残る割合が、大企業と比べて相対的に低くなっている。労働分配率の上昇は、企業の投資活動を抑制する可能性がある。一方で、労働者への分配に対する意識が高まる中、成長と分配の好循環を実現するためには、労働者に対する賃金の引上げも欠かせない。

収益拡大から賃金引上げへの好循環を継続し、我が国経済を成長・発展させていくためには、起点となる企業が生み出す付加価値自体を増大させていくことが必要であるといえよう。

労働分配率と企業の投資活動のバランス、いつの時代も変わらぬ経営者の悩みの一つです。

(中小企業白書 2020抜粋記事)