経営者が、知っておくべきお客様の整理術

お得意様を「ABC分析」で整理整頓する

講師

事業をはじめたばかり頃は、お客さんは少ないはずです。
しかし、事業が拡大しはじめると、お客さんも増えてきます。
何らかの方法で、しっかりお客さん情報を管理すべきです。
今回は、そのための会社の数字の講義です。

受講生

売上ばかり気にしていました。
しっかり、お客さんの情報を把握すべきですね。

受講生

事業がうまく動き出したら、
さらに多くのお客さんに出会えるといいなぁ。

講師

今回は、ABC分析をご紹介します。

会社には、さまざまな取引会社が存在します。
ふつう会社の規模が大きくなり、売上高の拡大とともに取引会社の数も比例して大きくなるものです。
起業したばかりの会社と歴史ある有名企業では、当然ながら取引会社の規模や数が違ってきます。


ところで、どの会社にも数ある取引会社の中でも、とくに重要なお得意様がいるものです。

お得意様とは、つまり、あなたの会社の取引先のうち、特に取引金額の多い会社のことです。

したがって、お得意様は、会社の売上高や経営に大きな影響を与えます。
ときにお得意様との取引停止や取引金額の減少によって、会社の存続が危ぶまれることさえあります。
数ある取引会社の中から、どの取引会社が重要なのか、そして、特に慎重に注意を払う必要があるのか、
を知っておきことは大切です。


会社が、どの取引会社とどのような商売をしているのかを知っておくことは当然です。
また、どの取引会社との取引金額が大きく、おもにどのような商品を売り上げているのか、
それらを知っておくことで、今後の販売戦略や商品戦略が、より明確になってきます。

売上高の推移でお得意様を知る



お得意様を知るためのもっとも単純な方法は、取引会社の売上高推移を整理することです。

【例1】をつかって、具体的にみていきましょう。

【例1】関東株式会社の直近3年間のおもな取引会社の売上高の推移はつぎのとおりです。(単位:百万円)

取引先名/年度 01年 02年 03年 合計
札幌商事 200 160 110 470
仙台物産 120 110 120 350
大阪工業 60 110 130 300
広島通信 40 180 20 240
福岡製作所 140 10 30 180


【解説】

直近3年間の取引総額は、札幌商事がNO1です。
しかし、年を追うごとに単年度の取引金額が減少しているのが、気がかりです。
札幌商事が求めている商品やサービスの変化に関東株式会社が十分に対応できていない可能性があります。
仙台物産は、毎年、コンスタントに取引されていることがわかります。
大阪工業は、ここ2・3年、確実に取引金額が増えてきています。
関東株式会社が、大阪工業のニーズに確実に応えてきたことがわかります。
広島通信と福岡製作所は、ある年度に突発的に大きな取引があったようです。
その原因と背景を確認しておく必要があります。コンスタントな取引ができる可能性があります。

このように年度ごと時系列に取引会社の売上高推移を整理するだけで、重要取引先が明快になります。
そして、今後の営業方針の参考資料にもなります。数字を整理するだけでも意外に有効な会計データになるのです。

ABC分析とは何か



80対20の法則というものがあります。
ざっくり言えば、売上高の80%は、わずか20%の取引先が生み出す、というものです。


これは、ABC分析ともいわれ、こちらの呼び名が認知度は高いかもしれません。

ABC分析は、取引会社ごとの売り上げ分析の一つです。
80対20の法則を会社の数字として客観的に裏付けするものです。

【例2】をつかって、ABC分析をみていきましょう。

説明を簡単にするために取引会社の名前をアルファベット名で表します。


【例2】日本商事株式会社のおもな取引会社をABC分析すると【表1】のようになります。

【表1】

販売順位 会社名 売上高(百万円) 構成比(%) 累積(%)
A社 100 25.6 25.6
B社 95 24.3 49.9
C社 90 23.1 73.0
D社 50 12.8 85.8
E社 20 5.1 90.1
F社 15 3.8 94.7
G社 15 3.8 98.5
H社 5 1.3 99.8
合計 390 100  ―

【解説】

それでは、この【表1】を使って、ABC分析の作成手順をみていきましょう。
作成手順は、とても単純です。
まず、取引会社ごとに売上高が多いものから順番に整理していきます。
ここでは、1位から8位までの8社を扱っていきます。
つぎに売上総額に占める取引会社ごとの構成比を計算します。

たとえばA社なら売上高が100百万円です。
販売順位の1位から8位までの売上高総額が390百万円です。
したがって、構成比の計算はつぎのとおりになります。

A社売上高  売上高総額   売上高構成比

100  ÷ 390   =  25.6(%)

構成比は、25.6 %と計算されます。
取引会社ごとに販売構成比を計算していきましょう。

つぎに累積比の計算です。
これは、構成比を加えていくだけの計算です。
B社の累積数字は49.9%ですが、この計算方法はつぎのとおりです。

A社構成比  25.6% + B社構成比 24.3% =  49.9%

ABC分析の知識を応用する



近所のスーパーやコンビニに立ち寄ると店内には、さまざまな商品がキレイに並んでいます。
お弁当やお茶などの食料品・週刊誌や新聞などの雑誌類・ノートやボールペンなどの文具類などなど。
ところで、お店にある多くの商品をすべて同じ時間と労力で管理するのは、効率的とはいえません。
ふつうに考えれば、よく売れている商品を重点的に管理すべきでしょう。
つまり、効率的な商品管理をすべきです。ここでもABC分析は有効に機能します。

[事例2]をつかって、具体的にみていきましょう。

富士スーパーの主要な商品品目は、E・F・G・H・I・J・Kの7品目です。

これらのうち、売上高占有率の高いものから順にまとめたものが、[表2]です。

・富士スーパーの商品データ  [表2]

ABC分析の作成方法は、前ページの[表1]とまったく同じです。

それでは、ABC分析していきましょう。品目EとFで累積比は、80%となっています。
これは、品目Eの占有率60%と品目Fの占有率20%を加えた合計です。
すなわち、富士スーパーの売上全体の80%をこの2つの品目で稼いでいることが読み取れます。
累積比をつかって、ABC分析をすればつぎのようになります。

グループ 品目 累積比 定義
A E ・F 80% 主力商品
B G・H 90% 準主力商品
C I ・J・ K 100% 非主力商品


A・Bの2つのグループ4品目で、売上の90%を占めていることがわかります。
ですから、7品目のうちでも売上累積比の高い4つの品目E・F・G・Hを重点的に管理すれば、
より効率的な商品管理ができるといえます。
このようにABC分析によって、手間をかけずに合理的で効率的な商品管理が可能になります。

取引先との代金決済方法も注意が必要です。

【経営と決済】についてもっと詳しく知りたい人のために、わかりやすい解説をした記事をご用意しました。

こちらをご参照ください。
参考記事

経営と決済