もくじ
人件費を知る
人は、なぜ働くのでしょうか?その答えは、一人ひとり違ってくると思います。
ある人は社会貢献のため、ある人は自己実現のためと答えるでしょう。
しかし、圧倒的多数の人にとって、働く理由は、お給料を稼ぐためと答えるのではないでしょうか。
ここでは、お給料-すなわち、人件費について考えていきましょう。
付加価値と人件費とは何か
人件費を知るためには、まず、「付加(ふか)価値(かち)」と「人件費」の2つを理解する必要があります。
「付加価値」とは、会社が「付(つ)け加(く)えた価値(かち)」をいいます。
具体的にみていきましょう。
[例] 商品を800円で仕入れ、1,000円で売った。
この例は、「800円で仕入れた商品に会社が新たに200円の価値を付け加えて100円で売った」と考えることができます。
つまり、仕入商品800円+付加価値200円=売価1,000円
と考えるのです。「付加価値」とは、「売上総利益」とほぼ同じと考えて下さい。
付加価値=売上総利益
つぎに人件費を見ていきましょう。人件費は、社員に支払うお給与だけではありません。
会社が負担する社会保険料や雇用保険料の「法定福利費」。
さらに忘年会費用などの「厚生費」を加えた総額になります。
すなわち、社員が、より快適な環境で働くためのさまざまな支出の総額が、「人件費」というわけです。
人件費=給与・法定福利費・厚生費など
労働分配率とは何か
労働分配率とは、「付加価値」に占める「人件費」割合です。
これによって、会社に占める適正な人件費を考えます。
労働分配率の計算式は、つぎのとおりです。
労働分配率(%)= (人件費÷付加価値額)×100
具体的にみていきましょう。
A社のデータは、以下のとおり。 (単位:万円)
・売上総利益 10,000 ・給 与 4,000
・法定福利費 600 ・厚生費 200
人件費の総額は、給与・法定福利費・厚生費をすべて加えた総額ですから、つぎのようになります。
人件費総額4,800=4,000+600+200
したがって、人件費総額は4,800万円になります。
繰り返しになりますが、売上総利益と付加価値は、ほぼ同じと考えてください。
このため、A社の付加価値は、10,000万円となります。
A社の労働分配率はつぎのようになります。
労働分配率 48(%)=(4,800÷10,000) ×100
自社のデータと、巻末の類似する業界データと比較してみましょう。
他社と比較することで、自社の労働分配率が高いのか、あるいは低いのか、の参考になります。
労働分配率を知ることで、自社の人件費総額の適正化をはかる一助となるはずです。