起業と会計

起業塾講師

皆さん、はじめまして。この講座は、これから起業する人が、
会計の基本を学ぶためのものです。

受講生

起業したいので、会計の基本を
学んでおきたいと思っています。

受講生

会計はまったくわかりません。
どうぞ、宜しくお願いします。

起業塾講師

皆さんに、短期間で会計の基本を知って頂くのが私の仕事です。
それでは、早速、講義をはじめましょう。

資金繰りを学ぶ

これから起業する人や起業した人にとって「資金繰り」は、必ず知っておくべき知識です。
起業とは、独立して終わりではありません。
起業したのち、事業をいかに継続的に行うかが、大切になります。
そのためには、まず、しっかり売上や経費を管理する必要があります。

この講座では、起業において、会計の知識が大切かを紹介していきます。

その中でも、まず、知っておかなければならない会計は「資金繰り」です。
すなわち、事業を行うためのお金の動きを把握することです。
この講義では、資金繰りの大切さを知るために「黒字倒産」を取り上げます。
黒字倒産の事例は、事業の継続を考えるうえで、とても参考になります。
起業の成功事例を学ぶことよりも、典型的な起業の失敗事例を学ぶことの方が、他山の石となり、
これから起業を目指す人のために大いに役立つはずです。

さっそく、黒字倒産について、考えていきましょう。

黒字倒産とは何か

講師

「黒字倒産」という言葉を聞いたことがありますか?

受講生

聞いたことはありますが、具体的に説明はできません。

受講生

正直、よくわかりません。

黒字倒産とは、会社が黒字にもかかわらず、倒産してしまうことです。

黒字は、利益があること、すなわち、儲かっているということです。


「儲かっているのに倒産した」


これは、いったい、どういうことなのでしょうか?
ちょっと、よくわかりませんよね。
この点について、具体例をつかって、考えてみましょう。

A社の営業成績は、つぎのとおりでした。 決算 3月  (単位:万円)

売上高1,000
仕入高800
利益200

A社は、200万円の黒字です。

ふつうに考えれば、A社は200万円儲かった、と判断できます。
しかし、A社は翌月の4月に倒産してしまいました。
200万円の黒字が出ていたのに倒産したのです。
これは、典型的な黒字倒産の具体例です。

なぜ倒産したのでしょうか。

A社のお金の動きを調べると、つぎのようなことが分かりました。

売り上げの代金である1,000万円の入金日    5月末

仕入先に対する支払い代金800万円の支払日   4月末

A社の4月末のお金の動きはつぎのようになります。   (単位:万円)

売上入金         0

仕入先への代金支払い  800

資金不足       ▲800

売上代金である1,000万円の入金が5月末ですから、4月の入金はありません。
一方で、4月の仕入先に対する800万円の支払いをしなければなりません。
しかし、5月末にならないと売上代金である1,000万円の入金がないので、支払うべきお金がありません。

A社の営業成績は、200万円の黒字でした。
が、その実情は、資金不足でひっ迫していたということです。
売り上げも大事ですが、資金繰りもそれ以上に大事なのです。

資金繰りと倒産

会社は、なぜ、倒産するのか?
起業した方なら、常に自問自答することでしょう。
倒産の要因には、さまざまな原因とケースがあります。
しかし、基本的には「会社にお金がなくなったから倒産した」が、最大の理由になるでしょう。

会社を取り巻く、経済情勢が変化した。
あるいは、消費者のニーズをつかめず、売り上げが減少した。
倒産に関するさまざまな理由が世間で解説されます。
しかし、原因をとことん突き詰めれば、「会社にお金がなくなり倒産した」ということです。
会社にお金があれば、たとえ売り上げが落ち込んだとしても事業は継続できます。
しかし、お金がなくなれば、いくら売上げが増加していても、事業の継続が困難になります。

ここでいう、お金とは自社のお金とは限りません。
銀行などからの借入金でもよいのです。
つまり、会社にあるお金のほとんどが、銀行からの融資でも、お金があればよいのです。
経営が厳しくなり、会社にお金が不足すると経営者や経理責任者が銀行を訪問する回数が増えてきます。
これは、銀行にお金を借りに行くためです。

「ゴーイングコンサーン」とは何か

ゴーイングコンサーンとは、会計の大前提のルールで「会社は倒産しない」というものです。

ちょっと、無茶苦茶な基本ルールのように感じる人もいるでしょう。
しかし、これは当然といえば当然の基本ルールといえます。
なぜなら、会社の倒産を前提としては、物事は何も始まらないからです。

倒産を前提にしている会社で働こうとする人はいません。
今から倒産する会社にお金を融資する銀行もありません。
ゴーイングコンサーンという大前提のもと会計の様々なルールが決められています。

基本的なことを一つ紹介します。
会社は、年に1回、財産や営業成績を集計し、会社が儲かったのか、あるいは損したのかを計算します。
これを「決算」といいます。

決算とは、利益を計算するために意図的に区切って期間計算を行うことです。

たとえば、4月1日から翌年3月31日までの1年間を計算するとします。
ある建設会社が、工事を2月1日から6月30日までの工期で始めている場合、この工事の売上げや仕入先への支出は、決算の期間とズレがあります。

このため会計では、さまざまなルールで、このズレの調整や修正をする必要が出てきます。
そこが、会計の難しさであり、面白さでもあります。

ですから、3月31日の決算をおこなうためには、会社が存続し、6月30日までの工期竣工まで、会社が存続するという大前提が必要です。
会社は倒産しないという大前提にしなければ、会計が成り立たないのです。

講師

今回の講義は、ここまで。次に採算について講義します。

起業においては、常に採算を考えて、行っていく必要があります。

【起業と採算】についてもっと詳しく知りたい人のために、わかりやすい解説をした記事をご用意しました。

こちらをご参照ください。
参考記事

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