起業するなら「資金繰り」の会計知識は必須です!

 
 

 

会社の経営では「資金繰り」の知識は必須です


起業とは、独立して終わりではありません。
起業したのち、事業をいかに継続的に行うかが、大切になります。
そのためには、まず、しっかり売上や経費を管理する必要があります。

ここでは、起業において、会計知識の大切さを紹介していきます。

その中でも、まず、知っておかなければならない会計は「資金繰り」です。

すなわち、事業を行うためのお金の動きを把握することです。
まず、資金繰りの大切さを知るために「黒字倒産」を取り上げます。
黒字倒産の事例は、事業の継続を考えるうえで、とても参考になります。
起業の成功事例を学ぶことも大切です。
しかし、典型的な起業の失敗事例を学ぶことも、他山の石となり、
これから起業を目指す人のために大いに役立つに違いありません。

さっそく、黒字倒産について、考えていきましょう。

黒字倒産とは何か






「黒字倒産」という言葉を聞いたことがありますか?

聞いたことはありますが、具体的に説明はできません。

正直、よくわかりません。

黒字倒産とは、会社が黒字にもかかわらず、倒産してしまうことです。

黒字は、利益があること、すなわち、儲かっているということです。


「儲かっているのに倒産した」


これは、いったい、どういうことなのでしょうか?
ちょっと、よくわかりませんよね。
この点について、具体例をつかって、考えてみましょう。

A社の営業成績は、つぎのとおりでした。 決算 3月  (単位:万円)

売上高 1,000
仕入高 800
利益 200

 

A社は、200万円の黒字です。

ふつうに考えれば、A社は200万円儲かった、と判断できます。
しかし、A社は翌月の4月に倒産してしまいました。
200万円の黒字が出ていたのに倒産したのです。
これは、典型的な黒字倒産の具体例です。

なぜ倒産したのでしょうか。

A社のお金の動きを調べると、つぎのようなことが分かりました。

売り上げの代金である1,000万円の入金日    5月末

仕入先に対する支払い代金800万円の支払日   4月末


A社のお金の動きを知る

 

A社の4月末のお金の動きはつぎのようになります。   (単位:万円)

売上入金         0

仕入先への代金支払い  800

資金不足       ▲800


売上代金である1,000万円の入金が5月末ですから、4月の入金はありません。
一方で、4月の仕入先に対する800万円の支払いをしなければなりません。
しかし、5月末にならないと売上代金である1,000万円の入金がないので、支払うお金がありません。

A社の営業成績は、200万円の黒字でした。
が、その実情は、資金不足でひっ迫していたということです。
売り上げも大事ですが、資金繰りもそれ以上に大事なのです。

【参考】

資金繰りは、ボクシングの試合に例えられます。
ボクシングの試合は、12ラウンドなど世界戦やその他で異なります。
最終ラウンドまで、いけば判定などの裁定が下されます。
しかし、第一ラウンドで、KOされれば、試合は、そこで終了します。
12ラウンドまで、行われることはありません。

会社は、1年間、12か月のトータルで損益を計算します。
それを知るのが、損益計算書です。

しかし、資金繰りは、1度躓けば、そこで事業は終了です。
すなわち、倒産します。
ボクシングの試合イメージで、資金繰りの大切さを理解できたのではないでしょうか。

 

なぜ、会社は倒産するのだろうか?


会社は、なぜ、倒産するのか?
これから起業しようと考えている人なら、興味あるテーマではないでしょうか。
倒産の要因には、さまざまな原因とケースがあります。
しかし、倒産の最大の理由の一つは、

「会社にお金がなくなったから倒産した」

とうことになるでしょう。

会社を取り巻く、経済情勢が変化した。
あるいは、消費者のニーズをつかめず、売り上げが減少した。
倒産に関するさまざまな理由が世間で解説されます。
しかし、原因をとことん突き詰めれば、「会社にお金がなくなり倒産した」ということです。
会社にお金があれば、たとえ売り上げが落ち込んだとしても事業は継続できます。
しかし、お金がなくなれば、いくら売上げが増加していても、事業の継続が困難になります。

ここでいう、お金とは自社のお金とは限りません。
銀行などからの借入金でもよいのです。
つまり、会社にあるお金のほとんどが、銀行からの融資でも、お金があればよいのです。
経営が厳しくなり、会社にお金が不足すると経営者や経理責任者が銀行を訪問する回数が増えてきます。
これは、銀行にお金を借りに行くためです。

会計学の大前提は、会社は倒産しない!は本当か?!


会計学には大前提のルールがあります。
それは、ゴーイングコンサーンです。


つまり「会社は倒産しない」というものです。

ちょっと、無茶苦茶な基本ルールのように感じる人もいるでしょう。
しかし、これは当然といえば当然の基本ルールといえます。
なぜなら、会社の倒産を前提としては、物事は何も始まらないからです。

倒産を前提に起業しようとする人はいませんよね。
また、倒産を前提にしている会社で働こうとする人はいません。

今から倒産する会社にお金を融資する銀行もありません。
ゴーイングコンサーンという大前提のもと会計の様々なルールが決められています。

基本的なことを一つ紹介します。
会社は、年に1回、財産や営業成績を集計し、会社が儲かったのか、あるいは損したのかを計算します。
これを「決算」といいます。

決算とは、利益を計算するために意図的に区切って期間計算を行うことです。

たとえば、4月1日から翌年3月31日までの1年間を計算するとします。
ある建設会社が、工事を2月1日から6月30日までの工期で始めているとします。
この工事の売上げや仕入先への支出は、決算の期間とズレがあります。

このため会計では、さまざまなルールで、このズレの調整や修正をする必要が出てきます。
そこが、会計の難しさであり、面白さでもあります。

ですから、3月31日の決算をおこなうためには、会社が存続しているのが大前提です。
6月30日までの工期竣工まで、会社が存続するという大前提が必要です。
会社は倒産しないという大前提にしなければ、会計が成り立たないのです。


今回の講義は、ここまで。次に事業の損か?トクか?について講義します。

起業においては、常に採算を考えて、行っていく必要があります。

【事業の損か?トクか?】についてもっと詳しく知りたい人のために、わかりやすい解説をした記事をご用意しました。

こちらをご参照ください。
参考記事

起業家にとって、損か、トクかの
採算を知っておくことは最重要問題です!

投稿者プロフィール

伊達敦
伊達敦
東京都武蔵野市。
決算書の見方、経営分析などマネジメントに知悉している商社勤務の実務家。
統括責任者として全国3000社を超える販売店及び代理店の経営実態の把握、
経営指標の分析に辣腕を発揮した。
また霞が関の中央官庁との交渉窓口も担当する。
独創的な決算書解説や経営分析理論は、海外でも高く評価され、著書は海外でも翻訳されている。
商業高校出身の為、簿記の基本を学び、大学で簿記理論を体系的にしっかり学んだ。
大学在学中は、会計学の大家、中村忠教授、飯野利夫教授から 指導を受けた貴重な経験を持つ。
おもな著書 「まだ若手社員といわれるうちに知っておきたい会社の数字」講談社刊
中小企業研修協会代表。ファイナンシャルプランナー。
欅坂46、櫻坂46の大ファン。DVDをすべて揃えている。推しメンは、関有美子。