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会社の支払能力は「流動比率」でわかる

 

管理職として「会社の支払能力」を知っておくことは大事です。
たとえば、管理職を含め、社員である以上、月1回、会社からお給料をもらいます。
もし、会社が倒産して、毎月のお給料がなくなったら大変です。
会社員は、毎月のお給料から食費や家賃などの生活費を支払っているからです。
このため、お給料がなくなれば、たちまち生活が苦しくなります。
また、借金がある場合は、返済できなくなります。

支払能力が十分でないと、周囲にさまざまな迷惑をかけることになります。

会社も同じです。
十分な支払能力がないと、取引先や社員に迷惑をかけます。
毎月のオフィス賃借料などの必要経費が支払えない。
支払手形が決済できない。
あるいは、仕入業者に代金を払えない。
社員のお給料が支払えない、等などです。
会社の支払能力を知る代表的な経営分析が「流動比率」です。

 

流動比率の計算式は、つぎのとおりです。

 

流動比率(%)= (流動資産÷流動負債)×100

流動比率は、流動資産と流動負債を比較するものです。

流動資産は、すぐに現金にできる資産です。

つぎのような資産になります。

現金・預金、受取手形、売掛金、棚卸資産、有価証券など

これに対して流動負債は、すぐに支払うべき借金です。

買掛金、支払手形、短期借入金など

この「流動資産」と「流動負債」を比較すれば、支払能力が「十分なのか」あるいは「不足しているのか」を知ることができます。つまり、流動比率から手元資金の充実度がわかるのです。
流動比率の数字は大きいほど、支払能力が充実していることになります。
反対に小さければ、不足していることを意味します。

[例]
A社とB社の貸借対照表は、つぎのとおりです。           (単位:百万円)

A社

流動資産   1,000 流動負債  500

 

 

B社

流動資産   300 流動負債  900

 

A社は、流動資産1000円に対して、流動負債は、500円です。流動資産を現金化し、借金である流動負債500円をすぐに返済しても、500円の余裕資金があるがわかります。

A社の流動比率は、つぎのとおり。

200(%)=(1,000÷500) ×100

流動比率が、200%と支払能力の高さが数字からもわかります。

一方、B社はどうでしょうか。借金である流動負債が900円に対し、すぐに現金化できる流動資産が、300円しかありません。

B社の流動比率は、つぎのとおり。

33(%)=(300÷900) ×100

流動比率が33%と支払能力が100%を大きく下回り、数字の上でも不十分なことがわかります。

一般的に流動比率は、200%以上が望ましいと説明されます。
つまり、流動負債に対して、2倍の流動資産があることが理想というわけです。
しかし、日本の企業においては、180%程度が、現実的な数字といえるでしょう。

 

・余裕資金がある会社

流動資産が、流動負債に対して、大きくなります。

 

流動資産 流動負債
余裕資金

 

・資金不足の会社

流動資産が、流動負債に対して小さくなります。

 

流動資産 流動負債
資金不足