もくじ
仕訳は、日々の取引を記録する
「仕訳(しわけ)を学ぶこと」が、「簿記を学ぶこと」といって過言ではありません。
仕訳を理解することなしに、簿記の理解はありえません。
簿記が苦手な人は、仕訳が苦手な人です。
仕訳は、勘定科目ごとに基本ルールがあります。
まず、この勘定科目ごとのルールを確実に覚えてください。
これは、理屈抜きに覚えるのみです!
ビジネスの世界で、簿記がその存在価値を保ち続けている理由の一つは仕訳です。
どんなに複雑な取引でも、仕訳によって単純に整理することができるからです。
そして、この仕訳は、簿記が生みだす「ことば」でもあります。
仕訳を見れば、それがどのような取引なのか、を推理できます。
具体的にみていきましょう。
仕訳には、3つの基本ルールがあります。
①簿記には「フォーム」がある
簿記には決まった「フォーム」があります。簿記の形式といってもよいでしょう。
簿記のフォームは、つぎのようなものです。
簿記のフォーム
借 方 | 貸 方 |
フォームの左側を「借方(かりかた)」といいます。そして右側を「貸方(かしかた)」といいます。
具体的な使い方は、これからくわしく説明していきます。
ここでは、簿記には「フォーム」があること。
そして、左側が「借方」、右側が「貸方」という簿記の用語を覚えましょう。
②借方と貸方は異なる勘定科目になる
簿記では、異なる勘定科目が、簿記のフォームに記載されます。
たとえば、借方に「A勘定科目」、貸方「B勘定科目」というようになります。
借方 | 貸方 |
A勘定科目 | B勘定科目 |
③左右の金額は同じになる
これは「借方」と「貸方」という左右に記入される金額が「必ず同じになる」ということです。
つぎの金額をみてください。
「借方」「貸方」とも同じ10,000円という同じ金額が記入されています。
簿記では、「借方」と「貸方」に必ず同じ金額が記入されるのです。
借方 | 貸方 |
A勘定科目 10,000 | B勘定科目 10,000 |
簿記の基本ルールである3つが成立したとき、これを「仕訳(しわけ)」といいます。
仕訳は、簿記が生みだす「ことば」である
仕訳は、簿記のフォームに「勘定科目」と金額を記入することで、意味を持ちます。
「現金10万円が、借入金によって増えた」ことを仕訳すると、以下のようになります。
借方 | 貸方 |
現金 100,000 | 借入金 100,000 |
では、この勘定科目が反対になったとき、どのような意味に変わるでしょうか。
借方 | 貸方 |
借入金 100,000 | 現金 100,000 |
この仕訳は「10万円の借入金を現金で返済した」という意味になります。
このように簿記のフォームに「勘定科目」と金額を記入することで、意味を生みだすのが仕訳です。
仕訳は「借方」から「貸方」へ勘定科目が動くことで全く違う意味にもなります。
仕訳とは、簿記のフォームと「勘定科目」が生みだす「簿記のことば」です。
それでは、なぜ仕訳によって取引内容の省略化ができ「簿記のことば」が生まれるのでしょうか。
あらかじめ決められた「仕訳のルール」があるからです。
つぎに仕訳のルールをくわしくみていきましょう。
仕訳のルールを学ぶ
簿記のマスターのためには、仕訳ルールは覚えるのみ!
・5つのグループごとの仕訳ルール
勘定科目に5つのグループがあります。
仕訳は、この5つのグループである資産・負債・純資産・収益・費用のそれぞれの「仕訳ルール」を覚えることから始まります。理屈を考えず、まず、基本ルールを覚えましょう!水に入らなければ永遠に泳ぎをマスターすることはできません。
簿記も仕訳の基本ルールを覚えなければマスターできないのです。
「資産」グループの仕訳ルール
資産は、借方に「増加」、貸方に「減少」を記入します。
借方 | 貸方 |
増加 | 減少 |
「現金」は、資産グループです。
この「現金」をつかって、資産グループの増減をみていきましょう。
現金が増加したときは、「借方」に記入されます。
借方 | 貸方 |
現金 |
現金が減少したときは、「貸方」に記入されます。
借方 | 貸方 |
現金 |
「負債」グループの仕訳ルール
負債は、借方に「減少」、貸方に「増加」を記入します。
借方 | 貸方 |
減少 | 増加 |
「借入金」は、負債グループです。
この「借入金」をつかって、負債グループの増減をみていきましょう。
借入金が増加したときは、「貸方」に記入されます。
借方 | 貸方 |
借入金 |
借入金が減少したときは、「借方」に記入されます。
借方 | 貸方 |
借入金 |
「純資産」グループの仕訳ルール
純資産は、借方に「減少」、貸方に「増加」を記入します。
借方 | 貸方 |
減少 | 増加 |
「資本金」は、純資産グループです。
この「資本金」をつかって、純資産グループの増減をみていきましょう。
資本金が増加したときは、「貸方」に記入されます。
借方 | 貸方 |
資本金 |
資本金が減少したときは、「借方」に記入されます。
借方 | 貸方 |
資本金 |
「収益」グループの仕訳ルール
収益は、借方に「取消(減少)」、貸方に「発生(増加)」を記入します。
借方 | 貸方 |
取消 | 発生 |
「売上」は、収益グループです。
この「売上」をつかって、収益グループをみていきましょう。
売上が発生したときは、「貸方」に記入されます。
借方 | 貸方 |
売上 |
売上が取消になったときは、「借方」に記入されます。
たとえば、売り上げた商品が、品違いなどにより返品された場合です。
借方 | 貸方 |
売上 |
「費用」グループの仕訳ルール
費用は、借方に「発生(増加)」、貸方に「取消(減少)」を記入します。
借方 | 貸方 |
発生 | 取消 |
「仕入」は、費用グループです。
この「仕入」をつかって、費用グループをみていきましょう。
仕入が発生したときは、「借方」に記入されます。
借方 | 貸方 |
仕入 |
仕入が取消になったときは、「貸方」に記入されます。
たとえば、仕入れた商品を品違いなどで返品した場合です。
借方 | 貸方 |
仕入 |